今回のテーマは「訪問看護の紙カルテと電子カルテ」です。
世の中のIT化が加速する中、訪問看護の現場でもICT化が進んでいます。
日本看護協会が示す「訪問看護アクションプラン2025」の中でも、訪問看護業務の効率化のためのICT化促進が掲げられており、現場の肌感としてもICT化が進んでいる印象があります。
しかし、紙カルテも完全になくなったわけではなく、紙カルテと電子カルテが併用されている訪問看護ステーションが多い印象です。
そこで当記事では、訪問看護の紙カルテと電子カルテのそれぞれのメリットとデメリットを深掘りしていきます。
最後まで読めば実際の訪問看護の現場の様子もよくわかりますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
ではさっそく解説します。
目次
訪問看護における紙カルテのメリット
まずは紙カルテです。
紙カルテは昔から医療現場において馴染みがあるものですよね。
訪問看護の現場でも、紙カルテはまだ存在します。
紙カルテのメリットとしては主に以下の3つがあげられます。
- パソコンが苦手でも大丈夫
- 書類を整理できる
- 停電時に強い
順番に解説します。
パソコンが苦手でも大丈夫
紙カルテは手書きのことが多いため、パソコン操作が苦手な方でも迷わず取り組めるメリットがあります。
世の中のIT化が進んでいるとは言え、看護師の中にはまだまだパソコンが苦手という方も多いです。
紙カルテはそのような方にとってはメリットと言えるでしょう。
書類を整理できる
訪問看護業務の中では、書類を扱うことが多くあります。
例えば…
- 訪問看護指示書
- 居宅介護サービス計画書
- 関係各所からのFAX
- 訪問看護契約書
- 訪問看護計画書
- 訪問看護報告書 など
紙カルテがあれば、関係各所から届く書類や自社で出た書類を整理しやすいです。
電子カルテでデータとして管理することも可能ですが、データ管理しつつも紙カルテにも保存している事業所が多い印象です。
停電時に強い
停電時に強いというメリットもあります。
停電が起きると電気が使えなくなるのでパソコン等も使えなくなります。
そういった時、紙カルテはすぐに必要な情報を閲覧することができるので、停電時には強いと言えます。
紙カルテのデメリット
紙カルテにはメリットもありますが、デメリットも存在します。
訪問看護における紙カルテの主なデメリットは以下の3つです。
- 持ち歩く時に重い
- 情報をタイムリーに共有しにくい
- 保管場所が必要
順番に解説します。
持ち歩く時に重い
紙カルテは持ち歩く時に重いです。
利用者さんの経過が長くなればなるほど紙カルテの内容は増え、重くなっていきます。
そのカルテをその日に訪問する人数分持ち歩くのはかなりの重量になります。
訪問看護師が持ち歩く荷物はカルテの他にもたくさんあるため、さらに重いカルテも持ち歩くのは大変です。
情報をタイムリーに共有しにくい
紙カルテは情報をタイムリーに共有しにくいです。
電子カルテだと訪問先でアップした情報を他スタッフもすぐに閲覧することができます。
しかし、紙カルテの場合は事務所に戻ったあとにしか共有できません。
また、一人のスタッフが持ち歩いてしまうと、他のスタッフはその間カルテを見ることもできません。
電子カルテに比べ、これは大きなデメリットです。
保管場所が必要
保管場所が必要というデメリットもあります。
紙カルテは保管しておく場所が必要です。
利用者さんの人数が増えていくとその場所もかなり広いスペースを必要とします。
場所を確保しなければならないデメリットは少なからずあります。
電子カルテのメリット
次は電子カルテについて深掘りしていきましょう。
最近の訪問看護ステーションはどんどん電子カルテを導入している印象があります。
それは、電子カルテにはメリットがたくさんあるからだと思います。
電子カルテの主なメリットは以下の5つです。
- 看護業務の効率化が図れる
- タイムリーに情報を共有できる
- 写真を撮って保存できる
- 請求業務の効率化ができる
- 直行直帰や在宅ワークが可能になる
順番に解説します。
看護業務の効率化が図れる
電子カルテだと看護業務の大幅な効率化が図れます。
電子カルテはタブレットやスマートフォンでも操作・閲覧が可能なため、それらの端末を使って場所を選ばず看護記録や書類業務を行うことができます。
隙間時間を有効活用することができるため、残業を減らすことにもつながります。
また、以下のことも看護業務効率化に繋がります。
- 看護記録が報告書に連動しているため作成しやすい
- FAX等の文書を電子カルテ上で作成し共有することができる
- 必要な情報をすぐ閲覧することができるため時間短縮になる
実際に訪問看護師として働く中で、上記のことは本当に便利であると感じています。
確実に働きやすさや残業軽減に繋がっています。
タイムリーに情報を共有できる
電子カルテだとタイムリーに情報を共有することも可能です。
紙カルテの場合、ひとりのスタッフがカルテを使っていると他のスタッフは使えませんが、電子カルテだと大勢のスタッフが同時に情報を閲覧することができます。
訪問先で得た情報を電子カルテにアップすれば、タイムリーに全員でその情報を共有することも可能です。
事務所に戻るまで情報を共有できないなんてことはありません。
これも大きなメリットのひとつです。
写真を撮って保存できる
電子カルテだと写真の保存も簡単にできます。
- 褥瘡
- 皮膚トラブ
- 内服薬
- 検査データ
- 駐車場の位置
- 物品の位置
- 物品の使い方 など
他のスタッフと共有したいことをタブレット端末のカメラ機能を使って撮影し、それをデータ保存することでとても簡単に情報を共有することができます。
訪問看護では看護師ひとりで訪問することがほとんどであり、直接見たり伝えたりする情報共有が難しい側面があります。
それを写真で簡単に共有できることは本当に便利です。
請求業務の効率化ができる
電子カルテを使うと請求業務の効率化も図ることができます。
電子カルテはレセプトと連動していることが多いです。
そのため、複雑な請求業務を効率化することができます。
直行直帰や在宅ワークが可能になる
電子カルテを導入することで直行直帰や在宅ワークも可能になります。
訪問看護では業務効率化やスタッフの働きやすさを考え、直行直帰や在宅ワークを取り入れている事業所があります。
紙カルテの場合、情報の共有や記録類の観点から直行直帰や在宅ワークが難しいです。
しかし、電子カルテだと場所を選ばず必要な情報を確認でき、看護記録等もタブレット端末等で自宅で行うことができるので、直行直帰や在宅ワークが可能となります。
電子カルテのメリットのひとつです。
電子カルテのデメリット
メリットが多い電子カルテですが、デメリットも存在します。
主なデメリットは以下の3つです。
- コストがかかる
- Tリテラシーがスタッフによって違う
- 停電時に利用できない
順番に解説します。
コストがかかる
電子カルテの1番のデメリットと言えるかもしれません。
電子カルテは紙カルテよりコストがかかります。
- 電子カルテソフト利用料
- パソコン
- タブレット
- スマートフォン
- wi-fi など
電子カルテを使う場合、だいたい上記のものが必要となりますが、全てのスタッフ分の必要物品を準備するため決して安くないコストがかかります。
ITリテラシーがスタッフによって違う
ITリテラシーがスタッフによって違う点もややデメリットとなります。
ITリテラシーの高いスタッフは、戸惑うことなく電子カルテ等を使いこなすことができると思いますが、ITに慣れていないスタッフの場合、操作に慣れるまで負担となる可能性があります。
停電時に利用できない
電子カルテは停電時には利用できません。
災害時など、急な停電時に利用できなくなることはデメリットと言えます。
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看護師|総合病院で9年勤務後訪問看護の道へ。訪問看護師歴は12年目。2児の母でもあり現在は訪問看護パート勤務で仕事も家庭も奮闘中。Webライターとしては訪問看護に少しでも興味を持ってもらえる「伝わる」記事を書くことが信念。訪問看護に特化した「ママさん訪問看護師のブログ」も運営中。